パワハラやセクハラ問題を弁護士に相談する際のポイント

効率よく弁護士に相談するには?

最近は,法律相談料を無料としている事務所もありますが,無料となるのが最初の1時間に限られるような場合には,超過した時間の分は費用がかかります。また,相談料が有料の場合にも,相談時間と相談料は比例するのが通常であるため,法律相談は可能な限り短時間で済ませたいところです。

とはいえ,最初の法律相談の目的は,パワハラやセクハラの被害者とされる社員からの請求や裁判にどのように対応していくかの見通しを立て,弁護士に依頼するかどうかを決めることですから,その判断ができないのであれば,相談時間が短くても意味がありません。

そこで,目的を達成するために,できるだけ短い時間で法律相談を終えるにはどうすればよいのか,言い換えれば,効率よく弁護士に相談するにはどうすればよいのかを知っておきたいところです。

パワハラやセクハラの証拠は大事。しかし・・・

パワハラ・セクハラ等の事案では,証拠の有無は極めて重要な問題です。そのため,法律相談時に,証拠となる可能性のある資料を持参することは,大変有益です。しかしながら,いきなりパワハラやセクハラに関する資料を示して,その説明を延々と弁護士にするというのはお勧めできません。なぜお勧めできないのかは,弁護士の思考プロセスに関係します。

弁護士の思考プロセスとは    

弁護士の思考プロセスというのは概ね次のとおりです。

まず,相談された案件で,請求されている内容が,裁判により権利として認められる見込みがどの程度あるのかを見極めるのが最初の目標となります。これを判断するには,最初に,事実関係を把握し,権利の発生・変更・消滅に関する事実(これらを以下「重要な事実」といいます。)の有無を確認します。

“重要な事実”がありそうだと確認できたら,次に,その事実があったと裁判所が認めるだけの証拠があるかを検討します。つまり,事実→証拠という順序で見通しを立てるということです。

まずは「事実」を「時系列」で説明し,無駄を省く

この順序に反し,いきなり証拠を見ても,それがどの事実を証明するものであるのか分かりません。録音データ等,客観的な資料であっても,“重要な事実”と無関係であれば,裁判上は価値がありませんので,これを検討するのは時間の無駄ということになります。効率よく弁護士に相談するには,このような無駄は極力省きたいところです。    

そこで,法律相談では,「何があったのか」という事実を最初に説明することをお勧めします。また,一連の事実の前後関係も重要となりますので,事実を時系列で整理して説明できれば,弁護士の理解がより深まるでしょう。

さらに,弁護士として知りたいことが質問されることもありますので,それに答え,弁護士が事実関係を十分に把握した後で,関連する資料を示すとよいでしょう。

法律相談では,事実関係の把握が重要であることは前述のとおりです。そして,弁護士が把握したい事実というのは,“重要な事実”ということになります。

ところが,依頼者が事件に関し経験した一連の事実は,“重要な事実”とそうでない事実が玉石混淆の状態となったものであるのが通常です。そのため,弁護士には,いわば習性として,一連の事実の中から“重要な事実”をより分けて把握したがる傾向があるように思われます。

親身に話を聞いてくれない,と思ったら

この点,特に,パワハラ・セクハラに関する案件では,様々な経緯があったり,感情的な対立も絡んだりするものです。そのため,会社側の相談者の方でも,見聞きした事実を全て聞いてほしいと考える方が少なくありません。しかしながら,そのような事実の全てが“重要な事実”というわけはないのが通常です。そのため,弁護士は,上記のような習性から,しばしば依頼者のお話を遮って質問したり,簡潔に話すように促したりすることがあります。

このような弁護士の対応について,話の腰を折られたとか,親身に話を聞いてくれない,とお感じになる方もいるようです。確かに,常識的には失礼ですし,弁護士としても大いに気をつけるべきですが,決して親身になっていないのではありません。むしろ,効率よく法律相談の目的を達成するとか,相談料を抑える意図によるものであることをご理解いただき,お気を悪くされないようお願いできればと思います。

まとめ

以上のとおり,法律相談の効率という考え方を依頼者の方にも意識していただくことは,大変有意義と考えております。

多くの場合,“重要な事実”を弁護士に把握させ,その事実を根拠づける証拠を示すという順序が効率的ですが,何が“重要な事実”に当たるのかの判断には,高度な専門性が必要となります。そのため,説明の途中で弁護士から質問等の介入をされることもありますが,これに柔軟に応じていただくことが,結果として効率よく法律相談をすることにつながるということをご理解いただきたいと思います。

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