紛争対応・予防の基礎知識

紛争対応

パワハラ等で会社が訴えられた場合の弁護士費用~相場と体系を解説

パワハラやセクハラといったハラスメント問題で社員から訴えられた場合,会社としては,対応を弁護士に依頼するのがベターです。特に裁判の手続は専門性が高く,社員側に弁護士がついている場合には,会社側としても弁護士を立てるのはほぼ必須といえます。パワハラ等の事案で弁護士に依頼するメリットについては別稿にて詳しく解説します。

本稿では,会社がパワハラ等の事案で弁護士に依頼する場合の報酬体系や相場について解説します。

一般的な弁護士費用の体系

パワハラ等の問題に限らず,一般に弁護士に依頼する場合の弁護士費用の体系は,大きく①着手金/成功報酬制と②タイムチャージ制の2つに分類されます。以下,それぞれについて詳しく説明します。

①着手金/成功報酬制

着手金は,弁護士との委任契約後,弁護士が業務に着手する前後のタイミングで支払う費用です。たとえ仕事の成果をあげられなくても,基本的には返還されません。これに対し,成功報酬は,文字どおり業務が成功した場合に発生する費用で,事件終了後に支払うのが通常です。

それぞれの金額は,依頼する事件の経済的利益(弁護士の業務により,依頼者に支払われた,または支払わずに済んだ金額。要するにどれくらい得したか,ということ)の額の一定割合とされることが多いです。具体的な相場(税別)としては,旧基準によると,次の表のとおりのとなっています。

経済的利益の額

着手金 成功報酬
300万円以下の場合 8% 16%
300万円を超え3000万円以下の場合

5%+9万円

10%+18万円

3000万円を超え3億円以下の場合 3%+69万円 6%+138万円
3億円を超える場合 2%+369万円 4%+738万円

ただし,この基準によると,事案の性質等からみて相当でない場合もあります。具体的には,依頼予定の弁護士とよく相談しましょう。

①タイムチャージ制

弁護士が業務のために執務した時間に,一定の時間単価をかけて弁護士費用を計算する報酬体系です。契約の時点で,事件の経済的利益の規模や,弁護士がどれくらいの時間を使うかの見通し難しい場合などに採用されます。

執務時間の締日と報酬の支払日や,執務時間と執務内容の報告の方法等については弁護士とクライアントで相談して決めます。執務時間は基本的には弁護士の自己申告になる上,時間をかけるほど弁護士としては報酬が増える体系のため,クライアントとの信頼関係が必要といえます。

時間単価の相場としては,業務の内容や弁護士のキャリアにもよりますが,1時間当たり20000円~40000円がボリュームゾーンかと思われます。筆者の感覚では,1万円台だとかなりリーズナブル,50000円以上になると,依頼する業務分野の権威レベルという印象です。

パワハラ・セクハラ等で訴えられた場合の弁護士費用は?

会社側のパワハラ等の紛争対応(内容証明郵便が届いたり,裁判を起こされたりした場合)に関する弁護士費用については,①着手金/成功報酬制と②タイムチャージ制のどちらも採用される可能性があります。①の場合には,着手金として請求を受けた金額が経済的利益の額とされ,成功報酬としては,請求額から減額できた分が経済的利益の額とされるのが通常です。また,②の場合には,解決までにかかった弁護士の執務時間に比例することになります。執務時間が長くなる要素がどれくらいあるかによりある程度見込みができますので,上限を設ける場合の参考にされるとよいでしょう。

詳しくは次のとおりです。

着手金/成功報酬制の場合

特殊な事情がない限り,請求を受けた金額が着手金の基準となる経済的利益の額とされます。例えば,500万円を請求された場合には,この金額が経済的利益の額となりますので,一応の相場として旧基準によると,500万円×5%+9万円=34万円が着手金(税別)となります。

また,成功報酬については,請求された金額から減額できた分が経済的利益の額となります。例えば,500万円を請求され,100万円で示談できたという場合には,400万円が経済的利益の額となり,旧基準によると,400万円×10%+18万円=58万円が成功報酬となります。

タイムチャージ制の場合

解決までにどれくらいの執務時間を要したかによりますので,相場として具体的な金額を示すことはできず,ケースバイケースというほかありません。一般論としては,交渉<労働審判<訴訟の順で執務時間が多くなる傾向があります。

また,執務時間が多くなる要素として,次のものが挙げられます。

  • パワハラやセクハラが行われた期間が長い
  • パワハラやセクハラの事実関係で言い分が食い違う点が多い
  • 当事者・目撃者等,関係者が多い
  • 録音データやメール等,検討すべき証拠資料が多い
  • 和解で解決できる見込みが小さい

このような要素がある事件でタイムチャージ制を採用する場合には,報酬の上限(キャップ)があると安心して依頼できます。契約の時点で上限を設定することは,事案によっては難しい場合もありますが,弁護士と交渉してみるとよいでしょう。

まとめ

上記のとおり,弁護士費用は原則として契約により自由に決められますので,本稿にて解説した相場をご参考に,依頼される予定の弁護士とよくご相談いただければと思います。

また,顧問契約を締結することで,弁護士費用が割引になることも多く,実際にパワハラやセクハラがあった場合には,会社は法律上の再発防止措置を義務づけられますので,その履行には専門家の関与が望ましいといえます。そこで,顧問弁護士のない会社は,これを期に顧問契約を締結することも検討されるとよいでしょう。

なお,サイト運営者の弁護士費用についてはこちらのとおりとさせていただいております。

PAGE TOP